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素人だから言えることもある

u-Japan政策の理想と現実

 総務省u-Japan政策について竹田情報通信政策局長が2005年12月、こんな説明をしていたことがあった。

 2010年までに国民の100%がブロードバンドを利用可能にする」というインフラ面の整備と、同時に「2010年までに国民の80%がICT(Information and Communication Technology:情報通信技術)を安心、安全に利用でき、なおかつ問題解決に役立つと評価できる社会にする」という、インフラ・利活用の両面における整備を政策の柱として挙げた。
 つまり、2010年までに、全国の視聴者が光ファイバーによるインターネットやデジタルテレビを視聴できる環境を達成するという計画である。

 ところが、2月16日の日経新聞がこんな記事を載せた。

地デジチューナー、低所得者に無料配布・政府と与党が検討
 政府・与党はテレビの地上波がデジタル放送に全面移行するのをにらみ、低所得の高齢者世帯などへの受信機の無料配布を検討する。2011年7月に現行のアナログ放送が打ち切られると地デジに未対応のテレビは映らなくなるため、買い替えが困難な世帯に対する支援策が必要だと判断した。
 このままでは達成不可能という見切り発車だ。これは民放連の会長がこんな発言をしているのにも伺える。
(2006年11月16日) 12月には、80%を超える世帯の方々にデジタル放送を受信していただけることになるが、親局と大規模な中継局の建設は未だ1000局にも満たない。残る1万以上の中継局で残り1割強の世帯をカバーするということは、大変地味であり、コストのかかることではあるが、放送事業者は2011年までには自力で99%まで普及を進めていきたいと思う。残る1%については、ここはムリだ、というようなことを早めに政府、自治体に報告し、一緒になって進めていく必要がある。最後まで放送の波が届かないまま、何の前触れもなく2011年7月にアナログ放送が終了する、というようなことがあってはならない。

(2007年1月18日)デジタル化に関して、もう一つ特に大きな課題は、政府が「残り1%」の条件不利地域のカバーに関して、公的助成を19年度予算案に組んだことへの対応である。親局、大規模中継局、中小の中継局と整備を進め、そこで残るのが「残り1%」、つまり最後に手がけるテーマであると思ってきたところ、早々と予算が措置されることになった。予算の性格上、年度内に使い切らなければならないものと思うが、この問題にも早めに着手しなければならない。

 このことは何を意味するか。民放連としては、アナログ停波引き伸ばしを画策していたのではないだろうか。政府が早々として対策を示した以上、民放連としては抜けられなくなった。

 さて、このことについて池田信夫氏のブログで「民放国営化」の兆しだと伝えている。

国営化される民放
NHKの受信料支払い義務化は、序幕にすぎない。今度は予想どおり、地デジのチューナーを無料配布することが検討されている。このチューナーを1台5000円とし、2011年段階でアナログのまま残る受像機を(業界の予想どおり)5000万台としても、総額で2500億円になる。これは総務省の電波政策の失敗を税金で補填し、民放まで含めた全テレビ局に政府が現物出資して、放送事業を国営化するものだ。
 もちろん、チューナーを配ったからといって、そのままデジタルテレビが見れるわけではない。配るんだったら、デジタルテレビとアンテナをセットにして配るべきだし、インフラを整備したところで、高齢者が急にパソコンを始める理由もない。つまり、政府がわざわざ予算配分をした理由は、結局、やる気のない民放に火をつけたに過ぎない。
それほどまで地上デジタルを急ぐ理由は何か。

 「地デジが生まれた本当の理由」に書いたように、アナログハイビジョンをアメリカに行ってPRしたNHKが、デジタル化の約束を押し付けられて帰ってきたからである。そツケを2010年までに果たさなければいけないからだ。

 本来デジタルテレビとインターネットはまったく関係のないものだった。国はそれらをいっしょくたにし、これから日本の生きる道だとしてICT(Information and Communication Technology:情報通信技術)に結びつけた。

 今、全国の地方自治体の多くが合併し、その合併特例債を使う目的の一部がインフラ整備に当てられている。しかし、地方の財政は厳しい。また、地方ほど高齢化率も高い。インフラ整備をして喜んでそれを使う高齢者が何割いるのだろうか。


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