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素人だから言えることもある

マイクロソフトの変心とコンテンツ配信の時代

 CNET Japanの「ゲイツ氏が語る「ソフトウェアがすべての中心となる」未来像(後半)」において

--Blu-rayに一本化するというWarner Bros. Entertainmentの動きは、HD DVDの終わりを意味するのでしょうか。だとすると、それはMicrosoftにとって何を意味するのでしょうか。Microsoftは間違いなくHD DVDの有力な支援企業ですね

Gates :前回の映画会社による発表は、Paramount PicturesがHD DVDに一本化するというものでした。ですから、一進一退があるということです。これはよくあるフォーマット戦争なのです。われわれが「HDi」対応ソフトウェアで取り組んでいることは、どちらのプラットフォームに対しても実質的に中立だと考えていただきたいと思います。

  それに、第3のプラットフォームがあります。最終的にはこれが勝利することに異を唱える人はいないでしょう。つまり、インターネットから直接ダウンロードするプラットフォームです。IPTVプラットフォームの「Microsoft Mediaroom」はこのやり方ですし、「Xbox LIVE」もそうです。

 ビル・ゲイツ氏のこの言葉は、HD DVD陣営から一歩身を引き、コンテンツ配信の次のステージに向かっていることを示している。前項「ワーナー一本化でボツになった? Xbox360 Ultimateの噂」で、もしワーナーがHD DVD単独支持を決めたとしたら、ビル・ゲイツ氏は基調講演の最後にこのXbox360 Ultimateを誇らしげに紹介する可能性もあり、当然この事前インタビューの返答もHD DVDの支援者としての答えとなっていただろう。つまり、ビル・ゲイツ氏はHD DVDに興味を失っていたのである

 またCNET Japanの「勝者はBlu-rayでもHD DVDでもなく、ハードディスク」--シーゲイトCEOが発言においても、

 一般ユーザーはまだBlu-rayやHD DVDのプレーヤーを購入し始めてはおらず、一般ユーザーが購入し始めるまでには、テクノロジ企業が洗練されたオンデマンドサービスやIPTVを販売していると思われる。実際、IPTVは今年のCESの主要テーマになっている。シャープやSamsung Electronics、松下電器産業はみな、テレビを使ってネットから項目や動画を見ることを可能にするコンテンツアライアンスを展開している。

 これはSeagate Technologyにとってはよいニュースだ。というのは電子的配信ではハードディスクの売り上げが増大するからだ。

との発言も同様である。

 僕は「本当に次世代DVD、華開くのか」で

映像や音楽コンテンツは、どれだけヒットするかを見極めることは大変難しい。また、広告に金をかければ売れるものでもない。そうなると、むしろ、ディスクを製造するよりダウンロード販売したほうが、製造コストは廉価で済むし、わずか1本でも可能だ。こうなると、コンテンツホルダーダウンロード販売をメインに考えていくのではないか
と書いた。

 これは日米のコンテンツの考え方が違うのではないだろうか。日本では、コンテンツを入れるパッケージ(つまりコンテナー)を集めたり、放送したものをとりためたりするためにディスクやビデオテープに保存する。

 一方、アメリカでは、コンテンツが大事で、ダウンロードするにはプレーヤーもレコーダーも必要なく、とりためるためのハードディスクが必要だ。よほどのコレクターでなければ、レコーダーでブルーレイディスクに保存しようなんて考えないのではないか。また、ダウンロードがメインになれば、わざわざショップに買いに行ったりしないからディスクそのものも普及しない。つまり、いくらブルーレイディスクが勝ったとしても、コンテンツ配信までの一時のつなぎという考えが大勢なのだと思う。

 しかもVariety Japan「デジタル配信は無料ストリーミングで一本化か?」で

パネリストたちは、有料ダウンロード方式よりも、広告つきの無料ストリーミング方式のほうが需要があるという見解で一致した。

 「ネットユーザーの多くは、違法コピーをタダで入手できるのだから、動画コンテンツは無料で見たいと思っている」と、フォックスのダン・フォーセットは言う。「ダウンロードで購入し、自分のPCにコンテンツを保存するという手法を選ぶ人はどんどん減っているような気がする。気が向いたとき、(ダウンロードの時間を待たずに)すぐに見たいと思うのが人情だからね」

 という。確かに、24時間いつでも視聴可能になれば、保存する必要もない。レンタルビデオ店は大打撃だろう。無料配送などではおぼつかない。それとも、著作権の切れたビデオを集めてコンテンツ配信を始めるのかな? しかし、そのことで映画館に行く人も減るだろう。一度怠け者になった視聴者を外出させるのは至難の業である。そのうち映画会社は、映画館配給をやめてコンテンツ配信一本になるかもしれない。

 一方、日本の視聴者はアメリカほど自由なコンテンツ配信には恵まれていない。「家電・コンピュータ業界がコンテンツの囲い込みを急ぐわけ」で指摘したように、テレビでつながる「アクトビラ」というポータルサイトは直接、インターネットにつながっていない。メーカーが提携しているコンテンツメーカーからダウンロードできるだけだ。それじゃ、いやだといえば、GYAOやフレッツ光などプロバイダーと契約(当然、有料)して、セットップボックスをつけてもらい、そこにダウンロードする。また、PS3やXbox360、アップルテレビでもインターネットにつながるので、ダウンロードできる。ただ、有料か無料かはコンテンツ次第である。
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