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素人だから言えることもある

未来は過去でできている

 8月になるたびに思い出す言葉がある。ドイツの元大統領ヴァイツゼッカーの言葉だ。

「罪の有無、老幼いずれを問わず、我々全員が過去を引き受けねばならない。全員が過去からの帰結に関わりあっており、過去に対する責任を負わされているのである。

過去に目を閉ざすものは結局のところ現在にも盲目となる。非人間的な行為を心に刻もうとしない者は、またそうした危険にも陥りやすいのだ。

 若い人たちにかつて起こったことの責任はないが、その後の歴史の中でそうした出来事から生じてきたことに対しては責任がある。若い人たちにお願いしたい。他の人々に対する敵意や憎悪に駆り立てられることのないように。敵対するのではなく、たがいに手を取り合って生きていくことを学んでほしい。(永井清彦訳)」(ヴァイツゼッカー演説)(岩波ブックレット「荒れ野の40年 — ヴァイツゼッカー大統領演説全文 — 」)

 日本人は、なぜか過去を忘れるのが得意である。何しろ年末には「年忘れ」の番組がたくさんある。また、「日本史」の授業でも都合の悪い現代史はなぜか「試験に出ない」という理由で省かれる。
 2006年に話題になったのは、全国の高校での世界史の履修不足であった。ところが、グーグルで探してみると、すべて2006年のブログだけ。すると、2007年にはすでに改善されたのか。そのニュースもない。ただ、話題を過ぎれば、忘れてしまう。

 不祥事が後を絶たないのは、誰も過去を学ばないからである。そのとき、そのときの話題を追いかけるだけで、何も身につかない。過去を発掘し、現代につなげることで、未来を展望する。過去に学ばないものは、現在を見失い、未来に失望する。この大きな違いが、その人の人生を作るのである。
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