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素人だから言えることもある

NHKはWOWOWになる? (ホームサーバの戦い・第95章)

朝日新聞にこんな記事があった。

NHK受信料「ネット視聴者も支払いを」 諮問機関提言
NHK会長の諮問機関「NHK受信料制度等専門調査会」(座長・安藤英義専修大教授)は12日、放送がインターネットでも同時送信される時代になることを前提に、ネット経由の視聴者からも受信料を徴収する新たな仕組みを提言した。
調査会は、松本正之会長に答申した「今後の受信料制度と運用に関する報告書」で、多メディア時代に公共放送の役割を十分に果たすためには、無線と有線の区別なく、受信料を財源としたサービスを供給する必要があると指摘。ネット視聴が可能なパソコンなどの所有者も受信料体系に組み入れる案を示した。
ただ、提言に示されたサービスの実施には、放送法の改正が必要となる。
この記事に対して、佐々木俊尚氏は、こんなツィッターをした。
昨日から話題のこのニュース。受信料というあいまいな料金制度が、ネットだと定額制という明確な支払いのしくみになってしまう。/NHK受信料「ネット視聴者も支払いを」 諮問機関提言 (朝日新聞) http://j.mp/qHQ1ZT

http://twitter.com/#!/sasakitoshinao/status/90926671489794048

なぜ、今まで、NHKは受信料を強制的にとろうとしなかったか。WOWOWのようにスクランブルをかければいいのではないか。それはNHKは公共放送だという自負心があるからだ。教えてgooにこんな質問がある。
NHKはデジタルでなぜスクランブル放送をしないのですか?
その回答として
それをやるとNHKが潰れてしまうからです。

NHKは、法律で「受像設備を有するものはNHKと契約して受信料を払わねばならない」というお墨付きを得て運営されています。罰則はありませんが、NHKの経営が成り立つ程度の人が契約を結んで受信料を払ってくれています。ハローワークでは常にNHKの地域スタッフの求人があるようです。新聞の勧誘並みに地域スタッフの仕事は大変みたいです。
現在、NHKのBSデジタルではスクランブルに近いことをやっています。
「NHKは地上・BSデジタル民放各社とともに、著作権保護を目的としたコンテンツ保護施策を開始しました。B−CASカードを挿入していない受信者の方に向け、「B−CASカードの挿入をお願いするメッセージ」を、BSデジタル放送で表示しています。」
これをNHK全体に広めると、「受信料を払わないとNHKを見れない=NHKを見ないなら受信料を払わないでよい」と考える人が相当数発生すると予測されます。少なくとも、NHK自身はそう予測しています。だからやらないのです。
スクランブル化しても受信料収入があまり減らない、むしろ増加する可能性もあるでしょうが、NHKはそのようには考えないようです。
NHKの公式の理由としては「NHKの重要使命である災害情報の伝達は、受信料未払いの人にも見てもらう必要がある。全面的なスクランブル化は公共放送の使命に反し不可」というのもあるでしょうか。(NHKはデジタルでなぜスクランブル放送をしないのですか?)
実際、BSデジタルの契約をした人はご存知だろうが、B-CASカードを入れてNHKのBSチャンネルを見ようとすると、BSにようこそというメッセージが出る。
この「ようこそメッセージ」は、一度だけ表示されるデータ放送で設置確認メッセージやその消去方法などのご案内を差し上げるのが目的です。画面の説明に従い、最後のページまでご覧いただき、リモコンの黄ボタン「テレビ画面に戻る」を押せば表示は消えます。一度消えるとその後は表示されません。「ようこそメッセージ」は、衛星受信契約をお済みの方を含めすべての方に表示されます。(BSデジタル放送のようこそメッセージ)
この表示は、電話やはがき・パソコン・FAXなどで連絡すると、消してもらえるが、連絡した住所に衛星放送契約を勧めるNHKの担当員がやってくる。現在、地デジもBSもB-CASカードが必要なので、地デジにもそういうことも可能なのだが、それをしてしまえば、「受信料を払わないとNHKを見れない=NHKを見ないなら受信料を払わないでよい」と考える人が増えるのでそこまではやらないというわけである。

確かに、NHKにとって安定した受信料収入は魅力的だが、それをやると、公共放送の存在意義が薄れる。したがって、いくら諮問機関が答申したところで、そう簡単には始まらないとは思うが、今回の地デジ化によって、受信料収入が激減したときには、一気に切り替わる可能性がないわけではない。ただ、その時は、NHKの公共放送の性格が、完全に変わってしまうだろう。その時は、WOWOWのように、スクランブルをかけるのだろうか。ネットは、放送局の業務形態そのものの大転換を促しているのだ。
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