モノ作りの喜びを失ったテレビ局
関西テレビに総務大臣から警告を出した。
総務相は同日の閣議後の記者会見で「公共の電波を使用する放送で、長期間にわたり事実と異なる放送が行われたことは極めて遺憾」と述べた。繰り返されれば、「電波停止」をも考えるという。また、民放連からの除名は、北京オリンピックでのキー局であるフジテレビの映像が関西テレビに流されない危険もある。大変な事態である。電波停止になれば、関西地方のフジテレビ系列の番組がシャットアウトすることを意味する。当然、スポンサーから逃げられ、広告料が激減するだろう。
同省は、同社が捏造番組を繰り返し放送し、放送メディアに対する視聴者の信頼を裏切ったとして、関西テレビに、これまで発動したことのない「電波停止」の厳しい行政処分を出すことも一時検討した。しかし、同社の最終調査報告書で、経営責任を明記したことなどを勘案し、行政指導にとどめることにした。
しかし、制作会社の構造を考えれば、捏造問題はあるあるだけではない。たまたま週刊朝日で報道されたことから始まったのだが、このようなケースはいくらでもあるだろう。
放送法の第3条の2に
(国内放送の放送番組の編集等)とある。特に「3.報道は事実をまげないですること。」が総務省の言う「事実と異なる放送」に当たるのだろう。しかし、そういうことが日常的に行われる原因は、何か。それはテレビ局と制作会社の権利関係にある。そこで僕は、「メディア革命」で指摘したように、テレビ局に著作隣接権を与えるのでなく、制作会社に与えるべきだと考える。なぜなら、直接テレビ局は番組を作っておらず、制作会社に責任を問うことが不可能だからだ。そのためには、制作会社をテレビ局の下に置く関係ではなく、同等の関係を持たす必要がある。権利関係が明らかになれば、制作会社は自信を持って番組を作ることができるし、テレビ局の一方的な管理を防ぐことができる。それに制作会社に「モノ作りの喜び」を味わうことができれば、より優れたコンテンツを作ろうと考えるはずだからである。
第3条の2 放送事業者は、国内放送の放送番組の編集に当たつては、次の各号の定めるところによらなければならない。
1.公安及び善良な風俗を害しないこと。
2.政治的に公平であること。
3.報道は事実をまげないですること。
4.意見が対立している問題については、できるだけ多くの角度から論点を明らかにすること。