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素人だから言えることもある

本当に次世代DVD、華開くのか

 もちろん、次世代DVDとはブルーレイとHD DVDのことである。もう発売しているではないかというが、DVDに比べるとそれほど売れているわけではない。前項「コピーワンス問題からほの見える日米のテレビと映画の立場」で論じた問題もようやく結論が出たようだが、この決定がまたレコーダーの買い控えを生むに違いない。家電業界の主張するファームウェアのみですまないからだ。そうなると、別にHDDレコーダーさえあればいいやということになりかねない。数年もかけてのらりくらりとこの問題を取り扱っているようすをみていると、まるで北朝鮮の六カ国協議のようだ。現在、拉致問題ばかり取り上げる日本に対して、他の五カ国が日本外しの方向に向かっているように見えるが、この次世代DVD問題も日本外しに向かっている可能性もあるのではないか。なぜなら、次世代DVDを製造販売している企業が日本に偏っているからだ。

 小寺信良氏のコラム「次世代DVDが起爆しない5つの理由」にもその原因も論じられているが、僕は別の面から考えていきたいと思う。

 僕は「ホームサーバーの意味するもの」でこんなことを書いた。

 映画会社にとって、ディスクというものほど厄介なものはない。確かに映画製作のためには大変大きな収入源だ。デジタルハイビジョン画質でコピーされてしまえばその収入源はふいになる。たくさん売りたいけれど、コピーは怖い。あれほどHDMI規格に時間をかけてコピーされないように設定した。しかし、所詮は誰かがコピーするだろう。コピーされないためにはディスクを視聴者に渡されなければよい。それで見るたびに金をとるシステムがあればよい。そうそれがインターネットを使ったホームサーバーシステムである。
もう始まっているビデオオンデマンド
GYAO NEXT  フレッツ光  OCN  4ch MEDIA(終了)  エンタミレル(終了)  YAHOO BBTV J:COM テレビ
ここに掲げたのは、パソコン画面ではなくテレビにセットトップボックスを通して視聴するもので、ほとんどが有料である。

 一方、アメリカの対応はどうか。

ディズニーの決断で戦線に大変革の予感」によれば、

Walt Disneyは先頃、テレビ番組を無償でダウンロードできるようにするという大胆な計画を発表したが、この動きがケーブル会社や衛星放送プロバイダーにとって厄介な問題を突きつける可能性がある。

(中略)

 たとえば、Warner Bros.ではAOLと手を組み、「Growing Pains」や「Welcome Back Kotter」のような昔のお笑いホームドラマを配信した。3月にはCBSが、NCAAのバスケットボールトーナメントの試合をネットでストリーミング中継した。また、昨年11月にはNBCが、「Nightly News」という番組をテレビで放映した後、ウェブで無料で公開し始めた。さらに、MTVのComedy Centralも11月に「MotherLoad」といウェブサイトを立ち上げ、既存の番組のビデオクリップを提供したり、このサイトだけで観られる新しい番組を流し始めた。

 一方、マイクロソフトやアップルもそのコンテンツをダウンロードさせるためのセットトップボックスを作り始めている。Xbox360やアップルテレビはHDD容量は少ないものの、セットトップボックスになりうることには変わりは無い。

 このように、視聴者に直接映像を届けることが可能になると、ブルーレイとHD DVDの存在価値はどうなるか。DVDレコーダーやプレイヤーを作っているのはソニーや、松下、東芝など日本企業がメインだ。製造には莫大なロイヤリティーがメーカーに手に入る。コンテンツホルダーとしては、ソフトを大量に売りたいが、売れ残りは増やしたくない。しかも、売れる時期は広告を出す時期の数週間でその後、急速に売れ行きが落ちる。映像や音楽コンテンツは、どれだけヒットするかを見極めることは大変難しい。また、広告に金をかければ売れるものでもない。そうなると、むしろ、ディスクを製造するよりダウンロード販売したほうが、製造コストは廉価で済むし、わずか1本でも可能だ。こうなると、コンテンツホルダーダウンロード販売をメインに考えていくのではないか。そのことは、つまり日本の家電産業外しである。ユニバーサルが未だに、ブルーレイに入らずにHD DVDに固執する理由、実は日本外しのためではないだろうか。

 日本には資源が無い。多くの業種が「ものづくり」である。コストカットのために製造現場を途上国に移行してきた。その途上国自身も力をつけてきて、日本に「ものづくり」大国の立場を脅かしつつある。それなら、コンテンツはどうか。確かに、アニメやゲームなど、お子様向けのコンテンツはかなりのものがある。しかし、これらも製造現場は途上国のものになりつつある。インターネットには国境が無い。これからはインターネット上でコンテンツを輸出入する時代が来るのだろうか。
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