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素人だから言えることもある

非正規日本人の反乱

 この物語は、ごく近い未来の話である。201×年、日本人は二つの民族に分かれた。50パーセントの正規雇用社員と50パーセントの非正規雇用社員である。前者を正規日本人、後者を非正規日本人と呼ばれる。正規日本人は、会社に忠誠を誓い、朝から晩まで長時間労働をいとわない。正規日本人は、過労で死ぬことを最高の美徳と考える。またの名を「ロボット」と言う。一方、非正規日本人は、あまり仕事に恵まれず、かつかつの仕事をしている。仕事といえば、単純労働で、いつでも代わりの人間はいる。またの名を「部品」という。ロボットの消耗した部品の代わりに使われるからだ。会社は、ロボット開発にコストをかけるが、部品に金をかけることはない。ロボットもポンコツとなれば、部品として扱われる運命なのだが。

 ともかく、正規日本人「ロボット」のセーフティーネットは、しっかりしているが、非正規日本人「部品」は、穴だらけである。唯一、非正規日本人の長所があるとすれば、考える時間がたくさんあるということだ。正規日本人は、朝から晩まで働かなくてはならないので、先のことを考える暇はないのだ。ところが、非正規日本人は、仕事がなければ、考える時間はいくらでもある。もっとも、先を考えれば考えるほど、自分たちに未来がないことに愕然とするのであるが。

 非正規日本人たちは、今まで「自分たちも正規日本人に」と訴えてきた。でも、あるとき、気がついた。私たちの望むのは、決してロボットになることではないことを。人間らしい生活は、誰かに要求することではないはずだ。そして、自ら「部品」になろうという人間は誰もいなくなった。

 果たしてその方法とは?
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