夢幻∞大のドリーミングメディア

素人だから言えることもある

皆、気がついてしまった。インターネットでは、ニュースは誰も儲からないことを。

ニュースメディアはただの伝達機関である。

 コンテンツの権利は、クリエイターにある。それならニュースの権利は、新聞やテレビのニュースメディアにあるか? そんなことはない。ニュースメディアはただの伝達機関である。メディアの歴史を見ればわかる。聖書を広めるために印刷機械が発明された。それまでは、聖書は、教会僧侶たちが、手作業で書写していった。この印刷機械は、本来、聖書を印刷するためのものであった。それが新聞を印刷し、競争相手が生まれ、新聞同士のスクープ合戦が生まれた。印刷機械はそれに従って、巨大化し、膨大な印刷用紙を必要とされた。

 インターネットになると何が変わる。この膨大なインフラが必要とされないことだ。一方で、新聞を印刷し、かかったコストをネットの読者に要求することは、あまりにも虫が良すぎるのではないか。たとえば、書物のように、ニュースをコンテンツ化し、それぞれのライターを抱えていくという形なら、それなりに意味があるかもしれない。このライターの記事は、このニュース・メディアしか読むことが出来ない。だから、金を払ってあげようと。だが、ほとんど同じ内容の記事を、わざわざ金を払って読むだろうか

 インターネットがなかった時代には、よほどの新聞評論家でなければ、複数の新聞を取ることはなかった。だから、新聞が各戸に配布され、毎朝読むことは意味があった。ところが、テレビ・ニュースで新聞の読み比べが始まり、インターネットが始まると、もっと多くの記事を無料で読み比べるようになった。つまり、新聞購読料とは、この巨大な印刷機械と用紙と、新聞記者たちの給料などのインフラ料である。

ニュースを独占する発想はニュースデバイドを増幅する

 それなら、ニュース・メディアを有料化する方法はないのか。各社がやっているのは、過去のアーカイブを有料化することだ。だが、わざわざ過去の記事を検索するために金を払うのは、歴史研究家など、ごく専門的な人間ばかりだ。そして、彼らは、図書館を利用する。また、それほどでない人たちは、Google検索などで、ブログ記事で我慢する。わざわざ、金を払ってまでアーカイブを検索しようとはしまい。また、そのような過去のアーカイブに壁を作ることは、一面では、その新聞にとって過去を知られることに何か問題があったかのように読者に取られるのではないか。僕は、「無料の知識と有料の知識」でこんなことを書いた。
同じニュースであっても、インターネットでは無料になり、新聞では有料となる。もし読者が一斉に、インターネットでニュースが見られるから、新聞は要らないと言い出したらどうなるか。新聞はインターネットのニュースを有料にできるのだろうか。(もちろん、新聞各社は過去の新聞データをデータベース化して有料化している。でも、新鮮なニュースが無料で、古いニュースが有料なんてやっぱり変だ。)(無料の知識と有料の知識)
 でも、最近、NHKがはじめたNHKオンデマンド、見逃した番組を有料で見せるというシステムだ。その意味では、新聞社の過去の記事の有料化も意味がある。だが、番組は、あくまでもコンテンツであり、新聞記事を単純にコンテンツというのはちょっと疑問がある。なぜなら、コラム記事のような記者独自の記事と、ストレートニュースが混在しているからだ
そして、テレビの知識と新聞の知識の違いをこう書いた。
 インターネットが普及する以前、知識は有料だった。学校で学ぶことも、新聞も書籍も購入しなければ身につけることはできなかった。テレビがあるじゃないかといわれるが、NHKには受信料があり、民放にはCMがあった。テレビの知識は、その場しのぎで本で確認しなければ、正確に知識として残っていなかった。人間は知識として身につけるには、文字として読まなければならないのだ。(無料の知識と有料の知識)

 改めて、新聞で確認しなければならないから、テレビの新聞記事が無料であってもかまわない。ところが、インターネットでは、新聞記事をコピベできる。それなら、コピベに金をとるシステムにするか。しかし、いったん、無料解放したものをもう一度、有料化するのも技術的に問題かもしれない。

最大のコンテンツは記者の価値

 もし、この記事は、この新聞でしか読めないというのであれば、有料化も可能だろう。ほとんど同じ記事が並んでいる現在、一紙や二紙が有料化したところで、検索から脱落するのが落ちである。なにしろ、Googleニュースでほとんどの記事の項目が読めてしまうのだから。それなら、考え方を変えて、こういうのはどうだろうか。名物記者を集めて、ニュースを書きながらルポやノンフィクション記事を書き、それを本にするのである。この本の収入で、新聞社を支えていく。とにかく、どんどん記者から作家に成長させて出版する。まあ、本が売れなくなれば、それで終わりかもしれないが。新聞も、より特化していかないとほかの新聞との戦いに勝てないだろう。


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