「Google Music」は敵か味方か(ホームサーバの戦い・第104章)
ジョブズ氏の最後の夢(ホームサーバの戦い・第102章) ではアップル、ストリンガー氏の決意(ホームサーバの戦い・第103章) ではソニーの動きを追った。これらの企業に対抗する企業はどこか。それはグーグルである。CNET Japanでこんな記事があった。
Googleは米国時間11月11日、ロサンゼルスで16日に開催する報道陣向けイベントの招待状を発送した。同社はこのイベントで、音楽ダウンロードサービスやソーシャルネットワーク機能を発表すると思われる。この「Google Music」とは何か。BINARY IT用語辞典によれば、
米CNETが複数の業界情報筋から入手した情報では、Googleは新サービス向けにUniversal Music Groupとライセンス契約を締結したが、 Sony Music EntertainmentやWarner Music Groupとは契約を交わしていないという。EMIがこれに加わるかどうかは明らかではない。ソニー、Warnerとの話し合いは継続中であると情報筋らは述べている。
Googleとレーベル会社らとの間の交渉は、どちら側にとってもうまくいっていない状態である。しかしレーベル会社は、「iTunes」に対抗する強力なサービスの登場を熱望しており、Googleには、iTunesを相手に善戦できるだけの技術的なノウハウ、経済力、インターネット上の認知度があると考えている。(グーグル、まもなく「Google Music」を発表へ--ソニーやワーナーとはいまだ交渉中http://japan.cnet.com/news/service/35010481/)
Google Musicとは、米Googleが開発した情報検索サービスのひとつで、音楽アーティストの楽曲の歌詞、CDタイトルなどの検索に特化された検索エンジンのことである。この「Google Music」は、検索を使って、楽曲のダウンロードサービスをしようというものらしい。CNET Japanのニュースの時は、ソニー・ミュージックやワーナー・ミュージックが参加していないとなると、あまり魅力のないサービスになってしまう。しかし、最近、こんな記事があった。
Google Musicでは、検索ボックスにアーティスト名やバンド名、もしくはアルバムの題名や楽曲の名前を入力すると、楽譜アイコンが表示され、そこに検索結果が表示されるという。情報検索ができるだけでなく、各オンラインストアから購買可能なアイテムを注文することができたり、あるいは楽曲のダウンロードサービスへのリンクが張られる。サービス開始時には、Apple Computerの「iTunes Music Service」、RealNetworksの「Rhapsody」、eMusic、Amazon.comなどが対象となる。Google Musicの検索結果には、それを補足するGoogleのウェブページへのリンクも含まれ、CDに収められた楽曲名や、そのバンドやアーティストがリリースした他のCDなど、キーワードに関連する詳細な情報を得ることが可能になる。(Google Musicとは)
Google Musicと呼ばれる音楽ダウンロードサービスを発表するGoogleが、ソニーミュージックとライセンス契約を締結し、4大レコード会社のうち3社と契約に同意したと、ウォールストリートジャーナルが報じています。冒頭の記事にあるとおり、「レーベル会社は、「iTunes」に対抗する強力なサービスの登場を熱望」から、ソニーやEMIが参加したものと思われる。いわば、アップルの独占を嫌ったものだ。ソニーにとっても、ストリンガー氏の決意(ホームサーバの戦い・第103章) で、島田氏が、
音楽業界関係者による情報によれば、Googleはユニバーサルミュージック、EMIに加え、ソニーミュージックともライセンス契約を締結したことが判明しました。ソニーミュージックはAdele、Sade, Foster The People, ケリー・クラークソン、マイケル・ジャクソンなどのカタログを抱えています。
またGoogleは多くのインディアーティストのカタログを抱える大手Merlin Networkともライセンス契約を締結しています。
これによりGoogleとライセンス契約を締結していないレコード会社は、ワーナーミュージックのみとなりました。(Googleが音楽ダウンロードサービス「Google Music」開始に向けソニーミュージックと契約、4大レコード会社のうち3社と同意)
「すでにOSの覇権争いは結果が見えている。その競争に加わるつもりはない。しかし、水面下でもう新しい競争は始まっている。ポスト・フェイスブックやポスト・ツイッターも含めて考えなければならない。もちろんソニーはその準備をしている」(ソニー、覇権奪回へ 動き出した極秘プロジェクト)と述べているように、改めてアップルのような独自のOSを開発するよりも、グーグルのアンドロイド政策に乗れるものは乗った方がいいという判断だ。そのうえで、EMIの音楽著作権を買収し、コンテンツ集めにリソースを傾ける。
一方、アップルはその先を行っている。それが「iTunes Match」。個人で収集した楽曲を預ける銀行のようなものだ。CNET Japanでは、こう説明している。
iTunes Matchはユーザーのライブラリの残りの部分、つまりApple以外の場所で購入した楽曲に関するライセンス問題の解決にも取り組んでいる。対象となるのは最大で2万5000曲だ。AppleのiTunesが始動したころの状況を考えると、このことは特に重要だ。iTunesがリリースされてから、Appleが「iTunes Music Store」をローンチするまでの間、同社のキャッチフレーズは「Rip. Mix. Burn(読み込み、ミックス、CD作成)」だった。これはCDから楽曲を抽出してライブラリに保存することを認め、奨励するものだと言える。いくらiCloudがあっても、ユーザーの持つすべての楽曲を保存していては、ストレージが膨大になりすぎる。そこで、同じ楽曲は最低限の保持で済まそうとする。
iTunes Matchが楽曲の保存の問題に対処するアプローチは、Appleのライブラリ内にある楽曲と一致するユーザーの楽曲を発見して、ライセンス付きの楽曲を提供するとともに、一致しなかった楽曲に関しては安全なデジタル保管場所を利用できるようにし、いずれの楽曲もあらゆるデバイスに再ダウンロードする手段を提供するというものだ。このこと自体が、Appleがストレージを再考する方法における最大の調整の1つである。もはやそれらのファイルをハードドライブに保存して安全に管理するということではない。その代わりに、Appleのライブラリにない楽曲まであらゆるものをクラウドに保管する高度に専門化されたストレージサービスに対して、利用料を支払うようになる。(「iTunes Match」の意味--アップルが提案するクラウド時代の音楽ライブラリ - (page 2) )
音楽だけでも、これらのことが起きている。さらに、テレビや映画、ゲーム、電子書籍についても、敵と味方が入り乱れ、合従連衡が起きる。そこには、アマゾンを含め、アップル、グーグル、ソニーの4社を中心にホームサーバの戦いが続いていく。