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素人だから言えることもある

抜き書き「NHKスペシャル 職場を襲う "新型うつ"」(2)

<スタジオ>

江川紹子(ジャーナリスト) よろしくお願いします。
NA 現代型ともいわれる新型うつ、これにどう向き合えばいいのか。専門家、そしてこのテーマに関心を寄せる企業経営者や若者たちと議論することにしました。
江川 あの尾木さん、教育問題、ずっとかかわってらして、若い人たちのいろんな現状なんかも今、ずーっと見てきていらっしゃると思うんですけれども、
尾木直樹(法政大学教授) 僕、大学から企業に送り出す側にいるわけですよね。法政の教諭ですから。そこから見てれば、先ほどのVなんか、そのまんま、学生のイメージに当てはまりますよ。言えないくらい、わんさといるんですよ。これは大変な事態だと僕は思いますよ。
江川 果たしてこれは、専門家から見てですね。本当に病気なんでしょうか、斎藤先生。
斎藤環(精神科医) ちょっとホワイトボードを。昔のうつはですね。責任感が強くて、まじめな方がなりやすい病気と、言われてましたけれども、今の傾向としてはですね、どちらかというと、自己中心的で、見る人によっては、不真面目とも見える。症状としては、基本的にうつ病と同じなんです。それから、面白いのは特徴ですけれど、生き方というのがポイントですね。その人の生き方と病気の症状があいまいなんですね。かつてのうつ病というのは、勤勉でまじめだった人が、全然動けなくなってしまうと。これはどうしてだろうと、不思議に思うんですけれど、最近の軽いうつは、もともとちゃらちゃらしているのがもっといい加減になっちゃったという風に見えるというときもある。そういう意味で生き方と区別がつきにくいという傾向が特徴であると思います。なので、治りにくい。
NA 従来型のうつ病の多くは、長時間労働や失業など、極めて強いストレスによって引き起こされます。しかし、新型うつの人は、周囲からは些細に見えることでも、深刻に受け止めてしまい、うつを発症します。原因が外ではなく、自分自身の考え方や性格にあることが多いため、治療が難しいのです。
それにしても、なぜ、新型うつは増えているのでしょうか。
斎藤 最近のうつの増加は社会構造の変化と無関係ではないだろうと、思うんですね。極端に言えば、高度成長期は、一生懸命頑張って仕事に取り組んで、生産性を上げていればよかったともいえますけれども、最近は、ニューエコノミー的なですね、経済構造の中で、場の空気を読んだりとか、あるいは、コミュニケーションスキルが問われたりとか、昔から見れば、かつてより適応の在り方がすごい複雑化していると思うんですよ。そういうところから、結構、こぼれる人が増えても仕方ないのかなと。
江川 古市さん、同世代ですよね。どんなことを思われていますか。
古市憲寿(社会学者) コミュニケーション能力という話が出てきましたけれども、この10年間、15年間の日本の変化というのは、製造業とか、しゃべらなくてもいい職業というのがすごく減って、逆にサービス業とかコミュニケーション能力を必要とされる仕事がすごく増えたんです。だから、しゃべるのがあまり得意でない人にとっては、なかなか働くのが難しいということが一つあると思います。
NA 社会の変化に適応できないことが新型うつが増えている背景にあるという指摘。これに対し、尾木さんは、若者の考え方や行動が、教育改革によって変化したことを理由にあげました。
きっかけは90年代に広がった新学力観。得点よりも関心や意欲を重視するものです。
尾木 新学力観といいます。80点の子が実は「5」がついてしまって、それで100点の子がうっかりすると「4」がつくことが結構多かったです。こういう逆転現象がついたんですよ。学力は、得点能力よりも、その授業に対する関心だとか、意欲がすごくあふれている、態度かいい。こちらのほうが優位になったんです。
江川 これがこういう風になったという事は、どういうことに影響したわけですか。
尾木 影響したのよ、これが。そうすると、子どもたちは一生懸命態度を良くしようとするでしょ。ニコニコしてワーッと手を上げようとするじゃない、周りみてもみんな手を挙げているし。ある中学校では、生徒会の役員に立候補選挙やったら、91人立候補者が出てしまって、立会演説会4時間かかった。笑い話のようなことが起きたのはこの当時なんです。こういう、つまり、先生からどう見られるかというのと、周りの友達からそういう風に見られてないかという恐れ、他者を異様に気にするようになったんです。
江川 やっぱり、人の目を気にしたりする、それが今の現代型うつにどう結びついていると思いますか。
尾木 だって、他者との比較の評価なんですよね。普段の生活態度でも、何にしても。他者との比較ばっかりだったら、なんで自己肯定感があがるわけがない。
NA 尾木さんが指摘する「自己肯定感」。つまり、自分への自信、新学力観の元で教育を受けた若い世代は、他者を気にするあまり、自分の意志で何かをやりぬいた経験が乏しいといいます。そのため、自分に自信が持てず、些細なことでつまずいてしまう。こうした「自己肯定感」の低さが新型うつを発症する根本にあるというのです。
尾木 これ、全体としても国際比較が、小学生、中学生、あるいは大人などいろんなのがあるんですが、どれみても日本の子どもたちの自己肯定感は突出した低さなんですよね。
江川 渡部さん(大学生)、自分たちの世代についていろいろ言われているんですけれども、これを聞いててどう思います?
渡部拓朗(大学生) アルバイト先の店長が言うんですよね。みんなの前で、「なんでお前、昨日休んだんだ」って、みんな反応するじゃないですか。その目が自分としては、怖いなっていうか、どう見られてるのかなって。
江川 古市さん、ちょうどその頃の教育を受けていたんじゃないですか。
古市 逆に、本当に年配者の方にコミュニケーション能力があったとしたら、歩み寄ることもできると思うんです。若者だけコミュニケーション能力がないと言って上が歩み寄ってこないのはちょっと違うかなって、思ってしまう。
尾木さんはいいんですけど、尾木さんの同世代の男性の方って、コミュニケーション能力がないように見える。

<VTR>

NA 新型うつを引き起こす要因に親子関係があるという指摘もあります。
24歳の鈴木香織(仮名)さんです。新入社員の研修であいさつの仕方を注意されたことでつまづき、うつ病を発症しました。退職し、何度かアルバイトもしましたが、そのたびに症状がぶり返し、それを会社のせいにしていました。
鈴木香織の声(ノートから) 上司にきちっとあいさつをしたし、何が常識がないのだ。分けわかんない。だいたいヤツの教え方が悪いのだ。
上司はえらそうに。上から目線だ!
あの人は鬼だ! 辞めよう。
鈴木 「どうしてできないの?」って言われたことがすごくムカついたっていうんですかね。
普通に言っていたのかもしれないんですけど、それがバカにされているような感覚がして。
NA そんな中、鈴木さんが出会ったのがカウンセラーの岸井たみえさんでした。岸井さんは、すぐに他人を責める鈴木さんの傾向から、典型的な新型うつだと考えました。
面談を重ねるなかで、鈴木さんが、母親に、どう見られているかを極度に気にしていることがわかってきました。
鈴木の声 お母さん、「私のこと怒ってる?」
NA 母親は娘に様々な習い事をさせ、進学先など重要なことを、すべて先回りして決めていました。
鈴木 言われたことをやりなさい。それがいい子になるものだみたいな感じ。親の言う事を聞くのがいい子だみたいな。
NA 母親の言いなりだったため、自分で何かを達成した経験がなかった鈴木さん。自信が持てず、上司に注意されると、相手を責めることで、自分を守っていました。鈴木さんのように、親が敷いたレールに沿って、育った子供たち。社会に出て、様々な価値観と折り合いがつけられず、新型うつに陥る人が多いと岸井さんは指摘します。
岸井たみえ 親の非常に教育的な厳しい倫理観があって、それが絶対視されていて、彼女はそこから動けなかった。
柔軟性がなくて、倫理観は絶対ですから、そこにすがって何事も状況を判断して、彼女自身が苦しんでいったというのがありますね。
NA 岸井さんは、娘への接し方を変えるべきだと母親にアドバイスし、娘のノートを見せました。母親は、初めて知る娘の思いに、言葉を失いました。
母親の声(取材班に送られた母親の手紙から) 衝撃的な内容で、頭をハンマーで殴られたようでした。まるで小学生が書く悪口ノートでした。何が原因なのか、自分の子育てが間違っているのか、悩みました。
NA 以来、母親は、娘の話をじっくり聞くように心がけました。そして、ある出来事をきっかけに、親子関係が変わり始めます。
鈴木の声(ノートから) コンビニに買い物に行った。1000円出したら、おつりが間違えて返ってきた。店員の態度も誠意が見えず、ムカツク。後で万引きでもしてやろうカナ。
NA 思わず、万引きしたくなったという娘に、母親は意外なことを話し始めました。自分も同じような衝動に駆られたことがあるというのです。
鈴木 お母さんだって、すべてが正しい人じゃないかなって思うようになりました。
NA 人間だれしも間違うことはあると考えられるようになった鈴木さん。去年、再就職し、うつの症状も収まりました。
鈴木の声 いろんなバイトをしてきて、いろんなことを言われてきた。今思えば、ちゃんと知らなかったから、怒ってばかりいたのかも。職場にはルールがあるんだ。
鈴木 確かにムカツクって思うときはあるんですけど、何に対して注意されたんだろうとか、やっぱり自分が悪かったなっていうふうに、考えられるようになった。

<実録ドラマ こうして私は追いつめられた 第2部>

<ブログオフ会>
今井の声 ブログが炎上し、前田からは解雇通告。焦っていた俺のために、ブログで親しくなった人たちが、食事会を開いてくれた。
のぞみん のぞみんです。私は、うつ病ではないんですけど、オリオンさんが書く文章に惹かれて、ブログ読んでいました。
<社内>
前田 俺だって、好きで今井を叱ってたわけじゃないよ。早く一人前になってもらわないと困るから必死だったんだ。
同僚B 今井も必死だったんじゃないですか。毎日、あわただしすぎて、とにかく失敗しないように必死にそればっかりで。
同僚A わかんなくなっちゃったんですね。
同僚B すいません、偉そうなことを。
前田 昔は、上司に怒られて、へこんで。でも、そのあと、居酒屋につれてて行ってもらって、そこで教わったんだよ、仕事の意味を。一緒に、客の喜ぶ顔、見ようじゃないかと、肩たたかれて。それで、元気になって何とかやってこれたんだ。
同僚A 今は、ないですもんね、そういうの。
<ブログオフ会>
今井 M田のやつ。解雇、解雇ってえらそうに。でも、マジで俺やばいかな。
のぞみん つらそうですね。
今井 うん。
のぞみん M田さんも。
今井 は? 俺のブログ、読んでたんだよね。あのM田だよ。鬼畜上司M田。のぞみん、M田の味方なの。
ブログ仲間(女) 何でM田の気持なんかわかるわけ。
のぞみん 私、実は臨床心理士なんです。
今井 臨床心理士
ブログ仲間(男A) 臨床心理士ってメンタルヘルスの専門家でしょ。
のぞみん メンタルクリニックでカウンセラーをやってます。私、もっと深く、患者さんたちの気持ちを知りたくて。
今井 じゃ、このオフ会やろうといったのは。
のぞみん なにか、私にもできることはないかなって思って。私、仕事を通して、現代型うつで苦しむ方々とお会いすることが多いから。
今井 現代型うつ。
のぞみん ええ、皆さんの症状は、現代型うつだと思います。現代型うつを発症する大きな原因は、患者さんの精神的な幼さです。
ブログ仲間(女) 何それ、うちらがガキだといいたいの。
のぞみん そういうふうに怒ってしまう事です。現代型うつの人は、自分のことを批判されると、すぐ攻撃的になる。核家族やゆとり教育の世代に育って、大事に育てられてきて、人に怒られたり、ぶつかり合ったりする経験が少ないから、
ブログ仲間(男A) そんなことないよ。ぶつかり合うなんてことはしょっちゅうだよ。今日だってさ、出てくるとき、うちの奥さん、俺になんて言ったと思う。今夜は出かけるんだ、気分転換も大事だよね。いってらっしゃい。と嫌味いうんだよ。病気の俺に。あいつは、内心じゃ、働きもせず、遊び歩いちゃってと思ってんだよ。だから、嫌がらせに嫌味いうんだよ。俺がどんだけ、傷ついているか、わかろうともしないで。俺の治療が治らないのはあいつのせいなんだ。
ブログ仲間(男B) それって。
ブログ仲間(女) 単に思い込みなんじゃん。
のぞみん 思い込みにとらわれてしまうと、物事の全体が見えなくなってしまうんですよ。
(今井の携帯が鳴る)
のぞみん 誰が悪いわけでもないです。
<社内>
前田 前田です。ブログ、改めて全部読みました。
<ブログオフ会>
のぞみん 今の不況では、昔のように十分な社員教育を行えないという悩みもあるんです。今井さんに欠けていたものは、対人関係のスキルや、打たれ強さ、そして会社にも、今井さんを育てる体制や、今井さんへの理解が欠けていた。そこに断絶が生まれ、お互いが苦しむことになったんです。
今井 (急に立ち上がり)すいません。俺、帰ります。
(店を出て、前田の留守電を聞く)
前田の声 前田です。(→続く)

<スタジオ>

尾木 今井君の場合も、鈴木(香織)さんの場合も、親のほうは失敗させまいとして、過保護になったり、両者に共通しているのは、子どもたちの本当の実感というんですかね、自分の感情をくぐり抜けて、こうやっていいんだ、これはいけないんだというのは、習得できてなくて、現代型のうつに入っていくと思う。典型の子じゃないかなと思う。僕は、これを“いい子症候群”というんですけれども、だいたい入ってきたときに先生方の間で、わぁーすごいいい子が入ってきたよといわれる子がだいたいダメになります。今、就職戦線が非常に厳しいわけです。エントリーシート書いたり、いろいろ書かされるんです、今。あんた、どういう人ですかといわれた時、書いてみたら、お母さんそのものの人間像を書いていたりする。というので、自分の感情が全くない、空洞化しているのに愕然とするわけですよね。
江川 大人から見ていい子がそういうふうになっていくというのは、実感としてどうです。
斎藤 精神医学でも常套句がありまして、「子供のころは手のかからないいい子でした」という病歴があったらだいたいやばい。子供が手のかからないいい子を演ずるために、どれだけの周囲にアンテナを張り巡らせて、配慮して、非常にぎこちなくふるまっているか、逆に想像すべきなんですけれども、手のかからないいい子という紋切型表現がはらんでいる闇は深いと私は思いますけれどもね。
江川 古市さん、どうですか。話聞いてて。
古市 昔は自分がなくてもよかった時代だと思います。いい学校に行って、いい会社に行って、そうすればいい人生が送れるといったことをみんなが共有できた時代だったから。逆に勉強さえしていれば、なんとかなったと思うんですね。今は、勉強していても、いい会社に入れるわけじゃないし、とりあえずいい人生を送れるかどうかも分からない。昔よりはるかに自分というものを作らなきゃいけなくなっている。というのが、この20年ぐらいで起こった変化かなと気がしています。
江川 どうしたら、対応、うまくできるのかって思います?
猪浦玲子(主婦) あの、どこか何か足りないなって私、思ってたのは、私たちは誰か困ったことがあったら相談しますよね。それがワンクッションになって、心のゆとり、よりどころになる人が必ず今まではいたはずなんですよ。そういう友達作りがあまりうまくないんじゃないかなって思っていて。
江川 どう思います。今の話。
斎藤 私は、人薬という言葉を使ったんですけれど、今、難しいのは人薬なんですよね。カウンセラーも医者も、お金払えば話聞いてくれます。本当に価値を持っているのは、コストと無関係に、親密な会話ができる仲間や同僚、これは全員が手に入れることができるとは限らないことが、不幸なところで。

<VTR>ITサービス企業

NA 人薬が得にくい今、仕事を通して、うつ病からの回復をサポートしようという企業があります。この会社では一人一人にあった、仕事を探し出せば、うつ病の人でも戦力になると考え、積極的に雇用しています。
そのため、定期的に、うつ病の社員の配属先が話われます。仕事で自信を得ることが、従来型や新型にかかわらず、うつ病の回復につながると考えているからです。
男A まずIさんになるんですが、得意分野がデータ入力、電子化作業
NA この日、検討されたのが、人間関係を築くのが苦手なものの、集中力は高いと評価される男性です。
経理担当者 繁忙期に入力作業だけのお手伝いとかであれば来ていただけると助かるなと、
総務担当者 定常的に入力作業とか、伝票関係で書類がありますので、彼の強みを生かして、事前にある程度説明をさせていただいて、
常務 一度、面談をしてもらっていいですか。
総務担当者 はい、わかりました。
原弘樹(仮名) おはようございます。
NA 去年、転職し、この会社で働く原弘樹さんは、すっかり元気を取り戻しました。かつて、大手電機メーカーで、半導体の開発を担当していました。ところが、あるプロジェクトを任されたプレッシャーから、うつ病を発症しました。この会社では、自分のペースで仕事ができるようになりました。豊富な知識を生かし、営業マンの労務管理を自動的に行うプログラムの開発を行っています。
昔取ったきねづかではないですけど、経験が生きてこういうプログラムを作るのはかなり楽しいので、やっているときは楽しんでやっています。
社長渡邉幸義 一人ひとり全部違ったら、一人一人のために仕事を作っていかないといけない。これはものすごい労力がかかります。でもその労力が本当はいろんな人のメンタル面では非常にいいことなんです。企業も個人に合せていくことが非常に大事だと思います。

<スタジオ>

斎藤 自分で任務とかを務めたという事が自尊心であり、自己肯定感であり、そういったものを職場から得られる。私は人薬といいましたけれども、場合によっては、仕事も薬になると思っているんですけれど。一方的なコミュニケーションで、無理な成長を押し付けられるよりは、その人のハンデに合せた職場を用意してあげたほうが、結局は、能率も効率も上がるという実感ですね。
江川 あの、うなずいてらっしゃいますけれど。
豊嶋美由紀(大学講師) さっきの原さんですか。非常にいい顔になっていましたよね。ああいうふうに、自分と違う人を受け入れるっていうような社会が、もっともっとできれば、もしかしたいい方向に行けるかなという気がします。
古市 やっぱり、最近の若い人はお金持ちになりたいとかエリートになりたいとかではなく、安定した場所で仲間たちと生きていきたい人がすごい増えているように思います。今の総合職というのは、基本的に誰でも社長になれるような、エリート候補生じゃないですか。エリート候補生がこんなに多いのはおかしくて、もっと一般職のようなものを、男性にも女性にも、提供できるようになっていけば、そこそこ働きたい人のニーズにも応えられるし、そこを線引きとかしていくのも大事かなと思います。
江川 自分に適した仕事をずっとやってきたいという人は無理をせず、ストレスをそんな感じず、現代型うつにならずに済む可能性もあるという事ですね。
古市 そうですね。
藤井裕士(輸入家具販売会社経営) そこまで若者を許容するのはいかがなものかというのは、正直感じます。
今は、うつにかかった方を中心に議論をされてますけれど、結局、うつになっていない人たちもたくさんいて、その人たちにすべての負荷がかかっているのも現実であるという事は忘れてほしくないですよね。
それは会社の経営にも、のしかかっているし、社会を弱くしているのは間違いない。
尾木 僕はね、そういう考えが、時代遅れだと思うんですよ。そうじゃないと思うの。それを変えて行かなくて。会社があってじゃなくて、労働の質の問題なんですよ。会社の問題じゃなくて、日本を会社で考えたら、藤井さんの考えのようになっちゃうんです。藤井さんの考えでいったら、藤井さん、うつになっちゃうよ。
藤井 僕がうつになったらどうしようと。その恐怖は常にある。僕は強くなきゃと常に思っています。自分がつらいとかも言わない。
江川 つらいとかっていったらどうかな。
中沢望(会社員) 私は言ってほしいです。私と結局、同じところもあるんだなと。共感できる部分があったほうが。
藤井 言わないで、ここを支えているというのは、彼らに安心感を与えていると、逆にずっと思って。自分は、正直つらいですよ。
江川 現代型うつに対して、どうするかということで、話を進めていったわけですけれども、以前は、非常に理不尽な拘束だとかいっぱいあって、理不尽なものをなるべくなくしていくことがいいことだと思っていろんな発言をしてきたんですけれど、でも社会の中には理不尽なことっていっぱいあるわけじゃないですか。そうすると、理不尽な壁にぶつかることのないまま、ずっと育ちあがってきて、いきなり壁にぶつかったとき、どうなるかなと思うと、理不尽なものを排除しようとしてきたことって、果たしてよかったのかなって、気がして。
尾木 確かにおっしゃる通りですよね。なかなか大人に通じないから。オヤジに通じない、越えられないもの、そこにぶつかりながら、論理力や屁理屈力を鍛えていく。我々、悪口言いますけど、それ鍛えていくわけじゃないですか。それで成長があるわけ。誰も認めてくれないって言っても、俺は俺でいいんだと思えるような自分を作っていったときに、それを作っていったときに初めてコミュニケーションが豊かに組み立っていくんじゃないかなという気がするんです。

<ドラマ>

<社内>
今井の声 ついにその日がやってきた。復職した俺をどんなふうに迎えてくれるのだろうか。
前田 ありがとう。待ってた。これからもっとコミュニケーションとって、一緒に成長していけたらと思っている。
今井 ありがとうございます。
今井の声 前田さんの言葉を聞いて少し気持ちが楽になった。
<今井の自宅>
今井の声 今回の経験で俺は少し成長できたと思う。
<出勤風景>
今井の声 まだ注意されてムカツクこともあるけど、相手の言葉を受け止めるよう、心掛けている。だから、上の人たちにもお願いしたい。甘えや怠けだと決めつけずに、きちんと向き合ってほしい。よろしく。
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