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素人だから言えることもある

10年後のテレビ

 「ネット時代10年後、新聞とテレビはこうなる」(藤原治著・朝日新聞社)という本が出ていた。藤原氏は元電通総研の社長である。僕は、「5年後のテレビ」でテレビの未来を想像し、「インターネットはテレビ局の解体を加速するか」「ネットがテレビを放送する日」でネットとテレビの融合についての問題点を考えてきた。

 今回は、この「ネット時代10年後、新聞とテレビはこうなる」をヒントに10年後の未来を僕なりに考えてみたい。

 メディアとネットの融合は次の三段階を経るという。(序章 新聞とテレビがネットにのみ込まれる日より)

【第一ステップ】

2011年に完成する地上波のデジタル化。これにより、テレビはデジタルとなり、もともとデジタルであるネットと同質化する。また、デジタル化することによりネットと接続が可能になるので、情報の流れも双方向化する。

【第二ステップ】

 ネットのブロードバンド化。大量の情報がネット上を飛び交うことが可能になることからネット上での鮮明な動画送信が可能になる。つまり、テレビの動画と同質化する。

【第三ステップ】

 ハードディスクを内蔵する蓄積型テレビの普及により、テレビはフロー(見る端から消えていく)からストック(いつでも好きな番組が見られる蓄積型)となる。ストック化することにより、テレビはパソコンと同質化する。

 こうして、ネットとメディアは同質化し、そこに新たな融合体が現れる。著者はこの融合体を「eプラットホーム」と呼んでいる。それは、媒体が違うゆえに競合しなかった新聞・雑誌・テレビ・ラジオやヤフー、グーグル、ライブドアなどのポータルサイトが含まれる唯一のメディアとなる。

新聞や雑誌などの紙媒体が紙を離れるときがくる

 新聞や雑誌は、その記事内容をコンテンツとしてネットに供給する。その理由は、若者たちの新聞離れである。ネットで無料に読めるのにわざわざ購入する人間はいなくなる。また、フリーペーパーの増加が有料誌の販売を阻害する。そこで、新聞や雑誌はネット上で有料コンテンツを考えなければならなくなる。各紙一斉に報道される事件の記事は無料で出すが、内容を掘り下げた独自の取材や有名人のコラム、特集記事などを有料で供給する。

放送免許が無意味になるときがくる

 テレビ電波とネットが同質のハイビジョンコンテンツを流すことが可能であれば、何も一方通行のテレビ電波にこだわる必要はない。広告主たちもマスで広告を流すよりも、視聴者の趣味に合わせた広告を流せばヒットする確率が高くなる。無駄な広告量も必要なくなる。さらに、双方向なので、個人放送局も増えてくる。

垂直統合よりも水平分離が主流になる

 電波の管理にとらわれないテレビコンテンツの製作が可能になり、各テレビ局は今までよりもコンテンツ主体の経営を迫られる。なぜなら、ネットには国境がないのだ。海外のメディアも日本の市場が有望となれば、日本語化をするだろうし、それを専門に受け持つ企業も現れるだろう。

メディアのヒエラルキーが存在できなくなる

 今までの権威は、一方的なマスメディアの押し付けであり、双方向になれば消費者の方から発信する(つまり生産消費者)ことも可能になる。失敗すれば、ただちに別のメディアに取って代わることになる。
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