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素人だから言えることもある

iPhoneのゲーム機化とPSPのケータイ化(ホームサーバの戦い・第25章)

iPhonePSPはやがて似ていく

 iPhoneがゲーム機を目指しているという記事があった。
PSPやDSの強力なライバルは「次世代iPhone」

Apple社が次に『iPhone』をアップグレードする際には、ゲーム機能に重点を置くはずだ、という見方でアナリストと開発者は一致している。

(中略)

ただし、iPhoneが本格的なゲーム端末として本当に認められるには、処理能力の限界、グラフィック性能、メモリ管理といった、対応が必要な弱点がいくつかある、と指摘するのは、iPhone向けゲーム『Trism』の開発者であるSteve Demeter氏だ。たとえば、ゲーム専用機としての分PSPの強みは、そのアプリケーション・プログラミング・インタフェース(API)が複雑なテクスチャーのロードに向いている点だが、iPhoneはこうしたタスクには性能が不十分だ。

Apple社が本気でiPhoneをゲーム・プラットフォームにするつもりなら、ほぼ間違いなく、次のアップグレードでこうした限界に取り組むはずだ。米Global Crown Capital社のアナリストTero Kuittinen氏も、次世代iPhoneはグラフィック性能や処理能力が向上されるという意見だ。

さらに、PSPの次世代機PSP2は、ケータイ機能に力を注ぐという記事もあった。
携帯電話に対抗するPSP2、CellとLarrabeeで揺れるPS4

 SCEは、もともとCellを開発した段階で、将来は携帯機器にもCellのカットオフ版を載せることを考えていた節がある。分散処理を行なう Cellコンピューティングで、PS3などのCellデバイスと連携させるといった構想だった。しかし、実際にPSPの後継となるPSP2は、そうしたマ シンではないようだ。

 もちろん、PSP2でチップ性能は引き上げられる。しかし、それ以上にその他の部分に注力する。メインメモリDRAM量を大幅に増やし、コンテンツをダウンロードして保持できる不揮発性メモリを大量に内蔵するといったアプローチだ。非ゲームの一般プログラムもより書きやすくし、また、ダウンロード コンテンツのビジネスモデルを定着させる方向だと見られる。もっとも、矛盾点があるのは、PSP2が従来型のパッケージコンテンツビジネスも継続しようと している点で、おそらく、ダウンロードとパッケージの両天秤で行くと見られる。

 こうした技術方向性を持つPSP2が仮想敵として強く意識しているのは、性能を高めつつある携帯電話系デバイスだ。日本の高機能携帯電話はもちろん、iPhoneスマートフォンに対抗することを真剣に考えているという。そのため、携帯電話機能のオプショナルな付加も検討していると言われる。

 SCEのこの状況判断自体は間違えていない。携帯ゲーム機は、もはや、個人が持つ携帯機器の中で、飛び抜けたプロセッシングパフォーマンスを持つ デバイスではなくなっている。急激に成長し続ける携帯電話系デバイスが、今や最強のポータブルコンピューティングデバイスになろうとしているからだ。億の単位で数が出る携帯電話の方が、PSP2にとっては手強い敵だ。

 このようなモバイル機器が同じようになっていくのは理由がある。現在では、端末だけでは収益が伸びないので、iPhoneならiTunesやAppStore、PSPならPSNのような、コンテンツのダウンロードストアのようなインフラで稼ぐしかないのである。当然、任天堂マイクロソフトも同じようなことを考えている。そのため、ホームサーバの端末としてiPhonePSP、DSを活用していくことになるのだ。

パソコン以後の世界

 Xbox vs PS2(ホームサーバの戦い・第8章) で引用した、マイクロソフトビル・ゲイツがいった言葉が思い出される。
ソニーはマイクロソフトと競いたがっている。PS2は、単なるテレビ用のセットトップボックスやゲーム機の枠に収まらないだろう。PCにとって脅威になるのは間違いない。(ディーン タカハシ著/元麻布 春男監修/永井 喜久子訳「マイクロソフトの蹉跌—プロジェクトXboxの真実」ソフトバンク)
 そしてゲーム機戦争とネット配信(ホームサーバの戦い・第10章) 後藤弘茂氏のこんな言葉を引用した。
もちろん、コアゲーマーの獲得がMicrosoftの目的ならそれで問題はないのだが、Microsoftの狙いはもっと大きいところにある。もともとは、ゲーム機という家電が、将来、リビングルームのメディアセンターに育つのなら、それを押さえよう、というのがMicrosoftのXbox戦略の原動力だった。もっと具体的に言えば、ソニー・コンピュータエンタテインメント(SCE)がそのポジションを獲る前に、自分たちで獲らなければならないと考えた。Xbox部隊の現場はともかく、Microsoftの上層は、そうした戦略でいたと思われる。(後藤弘茂のWeekly海外ニュース「Wiiに逆転されたXbox 360の巻き返し戦略」)
いわば、マイクロソフトとソニーの関係はゲーム機戦争の枠を既に超えていたのである。また、アップルが「アップルコンピュータ」から、「コンピュータ」の名前をはずし、大きく家電に舵を取ったのも、ポストコンピュータにホームサーバがあることを狙っているからだ。僕は、「アップルはなぜ、パソコンをケータイにしたか(ホームサーバの戦い・第18章) の中で、αブロガー江島健太郎氏の言葉を引用した。
 そして、Macとともに誕生しWindowsで完成したパーソナルコンピュータという概念が、とうとうiPhoneの登場によって携帯電話と合流してしまったのです。

パーソナルコンピュータにとっての携帯電話とは、典型的な「イノベーションのジレンマ」ですが、アップルは、この決して当事者には克服できないと予言されたジレンマを乗り越えてしまいました。メールやちょっとした調べ事など、ほとんどの日常的な用事が携帯端末だけで完結するようになり、ヘビーデューティーな限られた用途でしかパソコンが使われなくなっていくであろう未来を先取りし、自ら先手を打ったのです。(「iPhoneという奇跡」)

 ネットブックが現れ、パソコンが売れなくなり、テレビが低価格競争に見舞われ、家電の未来も危うい現代、マイクロソフト・アップル・ソニーが目指しているホームサーバに本当に彼らの望む未来はあるのだろうか。


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